日本で空き家が増え続けるのは、土地や家屋の所有や相続、維持管理コストの課題も大きいと言えます。
例えば高齢者だけで暮らしていた世帯で、高齢者が亡くなり、その子世帯が親から家を相続したものの、相続人が遠方に住んでいる、または家の管理に興味や資金がない場合、空き家として放置されることがよくあります。相続した人が、その家を「先祖代々の土地」や「思い出の場所」として大切に思うがために、手放すことに抵抗を感じる人が多いことも考えられます。
相続については、法律や税制の影響も大きいと言えます。固定資産税の住宅用地特例措置により、建物を取り壊さずに残しておく方が税負担が軽減されるため、老朽化した建物が放置されることがあります。
一方で、空き家を維持管理するには修繕費や固定資産税などの費用がかかります。特に古い家は修理費が高額になり、相続した人の負担を避けるため放置されることが多いです。特に、地方や郊外など、不動産市場の価格が低迷する地域では、管理にコストをかけても売却利益が出にくくなると考えられます。
また、相続人がいない、見つからない、家族関係の問題などで、相続登記が行われず、所有者が不明になる「所有者不明土地問題」もあります。
こうした空き家課題に対して、「空家等対策特別措置法」という法律があり、行政による強制執行が可能な「特定空家指定」という制度がありますが、土地や家屋は個人の私有財産であるという点から、執行範囲が限定的で、強制的な対応が行いにくい点も課題です。