二つの基準の算出方法

住宅の一次エネルギー消費量を計算するには、建物の冷暖房や給湯、設備機器にかかるエネルギーの消費量の合計を算出し、そこから床面積に応じて設定された標準的な一次エネルギー消費量を計算します。新築住宅の設計時の一次エネルギー消費量が、国の改正省エネ基準による一次エネルギー量より低いことが、2020年より義務化されます。

 

また、日本全国を8つの地域区分に分け、地域ごとに建物外皮の断熱方法も算出しなければなりません。これまでQ値(熱損失係数)で示されてきたものは、UA値(外皮平均熱貫流率)に変わり、建物が損失する熱量を外皮等の面積で割って計算します。μ値(夏季日射取得係数)は(冷房機平均日射熱取得率)となり、建物が取得する日射量を外皮等面積で割って計算します。

この「一次エネルギー消費量」と「外皮の省エネ性能」の二つの基準を守ることが、2020年より義務化されるのです。

一次エネルギー消費量とは

改正省エネ基準では、建物外皮の断熱性能に加え、一次エネルギー消費量についても評価されます。

そもそも、一次エネルギー消費量とは、どのようなものでしょう。

まず、一次エネルギーとは、水力、風力、太陽光など、自然エネルギーと、石炭や石油など、自然から得られるエネルギーそのもののことを指します。一方で、ガソリンや電気として使いやすく加工されたものを二次エネルギーと言います。

一次エネルギー消費量とは、建物で使われる冷暖房、給湯、照明、換気設備、家電などの設備機器に使われるエネルギーを、一次エネルギーの熱量に換算したものを言います。ガソリンや電気のような二次エネルギーの場合、m3やkWといったそれぞれのエネルギーによって単位が異なりますが、一次エネルギー消費量の場合は「熱量(GJ(ギガジュール)」という単位で表現します。

 

建物の外皮だけでなく一次エネルギー消費量も判断軸に

1999年に定められた次世代省エネ基準は、建物の開口部(窓やドア)や壁などの断熱性能で判断していました。日本を北海道、東北や長野などの寒冷地、南東北や北関東地方、首都圏などのやや温暖な地域、東海・近畿などの温暖な地域、九州や沖縄などの暑い地域と6区分にわけて、地域ごとに目安にすべき建物の外皮性能が示されていました。

次世代省エネ基準では、延床面積に対して建物(外皮)から逃げる熱量を「Q値(熱損失係数)」、同じく延床面積に対して建物に侵入する日射量を「μ値(夏季日射取得係数)」として評価します。

 

2013年の改正省エネ基準では、計算方式を変え、建物外皮の断熱性能に加えて、「一次エネルギー消費量」も判断の基準に加えられることになりました。

住宅の省エネ基準の変遷

日本の住宅の省エネ基準は、欧米各国に比べると遅れていると言いましたが、これまでに基準がなかったわけではありません。日本の省エネ基準は1980年に初めて決められ、その後何度かの改定を経て、1999年に定められたのが「次世代省エネルギー基準」です。

「本当にすごいエコ住宅をつくる方法 最新版」野池政宏・米谷良章 より

さらに東日本大震災を経て、暮らしに関わるエネルギーについて考える機運が市民の側にも立ち上がりました。こうした世論を受け、2013年には国の「エネルギー基本政策」が改定され、同年、省エネ基準についても「改正省エネ基準」が導入されました。1999年の省エネ基準は義務ではなく目安でしたが、2013年省エネ基準には、2020年までにすべての新築住宅・建築物で守ることが義務化されることになり、これは住宅業界にとっては画期的なことと言えます。

2020年、新築住宅の省エネ基準が義務化されます

地球温暖化やエネルギーの枯渇といった環境問題が深刻になり、世界全体でエネルギーの使用量を減らすために、各国で積極的な省エネルギー対策が進められています。日本は資源に乏しくエネルギー源のほとんどを輸入に頼っています。そんな日本がエネルギーで世界に貢献できるのは、省エネ技術です。これまで家電のエネルギー効率は世界トップクラスで世界をリードしてきましたが、住宅の省エネルギーについては対策が進んでおらず、欧米と比較しても建物の断熱基準は低く世界のトレンドから取り残されてきた感があります。

 

2013年に国のエネルギー政策の方向性を示した新しい「エネルギー基本計画」が発表されました。そこには、地球温暖化の原因物質とされる二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するために、家庭部門の省エネルギーを強化する指針が盛り込まれています。その一つが、「2020年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネルギー基準の適合を義務化する」というものです。

住宅の性能を数値化する

2020年は住宅産業にとって、大きなターニングポイントになります。2020年に「住宅の省エネルギー基準の義務化」が予定されており、今後家の省エネ性能に最低基準が設けられるようになります。

実は日本ではこれまで、住宅の省エネ基準はありませんでした。無断熱の住宅であっても違法状態にはなかったのですが、そのことが日本の住宅の省エネ性能を世界最低ランクと呼ばれるほどの状態にしてしまったのです。ZEHの専門家の多くは「2020年基準でも世界標準に比べると低い」と言いますが、今後基準を設けることで、段階的に基準を引き上げていくことも考えられます。

 

今後は建物の「外皮の断熱性能」だけでなく、「一次エネルギー消費量」も総合的に評価されるようになります。

 

大丸建設ではこれらの数値をわかりやすくお客様に示せるよう、準備をしています。

住まい手自身の意識向上を

ZEH(ゼロエネルギー住宅)の普及を進めていくうえで、HEMS(ヘムス=家庭の消費エネルギー量を可視化する機器)があれば、住まいのエネルギー収支を簡単にはかることができますが、本質的には住まい手が家庭のエネルギーの仕組みについて理解し、住宅の建設時点で効果的な投資をしていくことが大切です。

 

断熱性能が高ければ、暖房冷房にかかえる消費エネルギー量を減らすことができるので、家電の性能に振り回される心配がありません。また、パソコンなどの消費電力量の小さな機器よりも、冷蔵庫やエアコン、給湯器といった消費エネルギー量の多い機器に投資をすることで、総合的なエネルギー量を減らして「元をとる」こともできるようになります。

 

新築住宅を建てる際には、大丸建設も持てる知識を総動員してご相談にのりますので、いつでもお声がけください。

 

住宅でのエネルギー使用量の「見える化」がカギ

ZEH(ゼロエネルギー住宅)を実現するためには、幾つかのポイントがあります。

・高断熱で、省エネ性能が高い躯体であること。

・太陽光発電設備が搭載されていること。

・家電の省エネ性能が高いこと。

・家で使用しているエネルギー量が可視化されていること。

特に「見える化」については、一見見逃されがちなのですが、住まい手の省エネ意識を高めるためにも極めて重要な施策です。

家庭用のエネルギー見える化機器に「HEMS(Home Energy Management System、ヘムスと読む)」があります。HEMSは家庭の分電盤に設置することで、部屋ごとの消費エネルギー量がわかり、スイッチのON/OFFで数字が変わるので効果がよくわかり、住まい手のモチベーションが高まります。

ZEHの住まいはHEMSを標準搭載にすることも多いので、ぜひ積極的にふれてみてください。

2020年に標準的な新築住宅をZEHに

日本政府は今、ZEHの普及にとても力を入れています。経済産業省資源エネルギー庁による「エネルギー基本計画」では、以下のように記されています。

 

(中略)

住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の実現を目指す。

(中略)

 

今は2017年末なので、あと3年で標準的な新築住宅ではZEHが当たり前になっていく……この意味するところは、太陽光発電設備の搭載と、高断熱な省エネ性能が新築住宅の基本スペックということになりますね。

経産省が発表した「ZEHロードマップ」によると、「ハウスメーカー、工務店等がつくる新築住宅の過半数がZEH」と示されているので、私たち大丸建設もその流れに追いついていかなければなりません。

 

太陽光発電が強い味方

ZEH(ゼロエネ住宅)の実現には、家庭の消費エネルギー量を下げることが必要不可欠ですが、一方で創エネとの組み合わせが必須となります。家庭で創エネするのならば、やはり太陽光発電です。再生可能エネルギーでの創エネは大規模であれば、太陽光発電、風力発電、水力発電などもありますが、家庭などの小規模な発電には太陽光発電が向いています(家庭用小型風力発電もあるのですが、安定した電力供給は難しいと言われています)。

南面に面した屋根がある程度あれば、一般家庭は3kWh程度の発電量で、省エネ性能が高い住宅という前提にはなりますが、ZEHの実現も夢ではありません。一般住宅で4kWh程度の発電量があれば、発電するエネルギー量が消費するエネルギーを上回ることもあり、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(差し引き・正味ゼロ)ではなく、リアル・ゼロ・エネルギー・ハウスになることも可能です。