断熱と確認申請_2 確認申請ってそもそも何?

私たちがお客さまとお話しする時に、家を建てるときには、まず“確認申請”という手続きが必要であることをお伝えしています。建物の計画が法律に適合しているかどうかを、第三者にきちんと確認してもらう仕組みのことで、具体的には、建築主や設計者が「建築確認申請書」を作成し、各自治体や、指定確認検査機関に提出します。

この確認申請は、建築基準法に基づいています。建築基準法は「安全で衛生的な建物をつくるための最低基準」を定めた法律で、敷地・構造・防火・採光など、さまざまな項目が規定されています。

今回の改正では、これに加えて「建築物省エネ法」による断熱性能などの審査が一層厳しくなりました。つまり、設計図だけでなく、省エネ性能を証明する書類も一緒に審査されるようになったのです。

確認申請は、家づくりの最初の関門のようなものです。法律に沿った計画がきちんと認められることで、建てる側も住む側も安心して工事を進めることができます。

断熱と確認申請_ 1 春から何が変わったの?

今年の春から、「建築物省エネ法」に基づく制度改正により、家づくりに関わる「建築確認申請」のルールが一部変更されました。特に大きな変化として、住宅の断熱性能について、これまで以上に詳しく書類で示すことが求められるようになっています。

これまで一級建築士が設計する場合、断熱に関する細かな性能表記は免除されてきました。しかし今回の改正で、すべての建築計画において、断熱等級やその計算根拠を申請書類にきちんと記載し、提出する必要が出てきました。

この変更によって、審査機関が確認する書類の分量やチェック項目が増え、現場を支える設計事務所や工務店では、準備に時間と手間がかかるようになっています。テレビのニュースなどでも報道されるほど、現場の混乱も生じているようです。

ただ、この改正は「お客様にとってわかりにくい断熱性能を、より透明に提示し、確認できるようにする」という目的があります。家づくりに携わる私たちにとっても、性能を正しく伝え、より納得のいく住まいを届けるための大切な一歩だと感じています。

 

物価高の波_5 流通コストも高騰

今、日本を直撃している物価高に、多くの方が頭を抱えていることと思います。中東情勢も不安定になってきており、そうすると原油高に直結して、ガソリン価格、物流コストが上昇してきます。住宅産業は物流と大きく関わるため、結果的に住宅価格の高騰につながってきます。

輸送コストは輸送距離が長いほどかかってきますし、大量に一括で納入できればその分コストは下がります。大丸建設のような注文住宅の場合、一括仕入れではなく、お客様のニーズに合わせて一つひとつの建材を仕入れていきますので、同じ規格で統一されている大量生産型のハウスメーカー住宅の方が一見すると建材コストの面では有利に感じるかもしれません。

大丸建設では、住宅に使う主要な材料である木材は、すべて国産の無垢材で、産地から直送しています。壁材、床材等も、日本の誠実な自然素材建材店から直接仕入れることが多く、海外から輸入する建材よりも輸送にかかるエネルギーやコストは低い傾向です。流通にかかわる中間マージンが低くおさえられているため、誠意ある自然素材メーカーや産地に適正にお金がまわり、産業の維持や活性化につながります。

こうした観点からも、流通コストがどう回っていくのかを、お客さまに知っていただけるとありがたいなと思います。

物価高の波_3 お客さまの住宅予算とローンへの不安

現代は「不確実性の時代」と言われています。急激な円安や相次ぐ物価高、世界的な紛争の影響など、「数カ月先の未来がどうなるかわからない」状態のなかで、先を見越して投資をしていくのが難しい時代です。

物価高の影響で、住宅取得・建築コストも少しずつ高まってきていますが、ここにきて先行きが心配なのは住宅ローンがじわりと上昇する傾向にあることです。世界的な金利の上昇の影響もあると思いますが、世界の金融情勢が不安定なので、金利が低水準にある時期を見極めながらの住宅取得の必要や、すでにローン返済をしている方は、返済計画の見直しを迫られることも出てきそうです。

私たち工務店にとっても、予算内でお客さまが満足できるようなプランへの提案力が試されます。設計はもちろんですが、適材適所の素材提案を行い、暮らしの質を下げずにどれだけ満足できるか、たくさんの引き出しのなかから最適な提案をできるように、情報収集や検証をしていく必要があります。

物価高の波_1 住宅産業を直撃する物価高

今、ニュースを見れば毎日のように「お米が手に入らない」「あれもこれも値上げ」「電気代・ガス代などの生活のインフラも高騰」「それなのに給料は上がらない……」と、物価高が私たちの生活を直撃しているのを痛感しています。建築業界も例外なく物価高の影響を受けており、私たち工務店も、大変なやりくりをしている日々です。

コロナ禍に大きな影響を及ぼした「ウッドショック」は、北米を中心に住宅DIY熱が高まり、住宅建材となる木材の輸入が大幅に滞り、急激に国産材への需要が高まったことで起こりました。大丸建設では長年、産地との提携関係があるため、直接的な影響は少なかったものの、産地では資材の提供に苦慮している様子が伝わってきました。

しかし、今はさらに極端な円安や、関税の影響も受けつつあるなかで、今後さらなるコスト高に見舞われる可能性があります。木材だけでなく、合板や断熱材、配管部材など、あらゆる材料が高騰することが予測され、それに応じて住宅建築コストも見直していく必要に迫られるはずです。

 

温度のバリアフリー_6 町田の家の事例紹介が公開されます

2カ月にわたり「ヒートショック最前線」と「温度のバリアフリー」というテーマで、断熱の重要性と、住まい全体の温度差をなくし健康で快適に暮らすためのポイントをお話ししてきました。

大丸建設では建築家の松本直子先生の設計する住まいを手がけることが増え、特に今年竣工した「町田の家」は、「温度のバリアフリー」を高い次元で実現した住まいと言えます。

大丸建設ホームページの「事例紹介」のページで、撮り下ろした写真と共に紹介する予定です。

また、建築家の松本直子先生と私、大丸建設の安田佳正の対談も公開します。松本先生から見た大丸建設の技術や施工について、過分なお言葉をいただき、とてもうれしく感じると共に、その信頼に自信を持って、これからもよい住まいを作っていきたいと考えます。公開されたらぜひご覧いただけると幸いです。

 

温度のバリアフリー_5 持続可能な住まいづくりのために

住宅の断熱性能を高め、温度のバリアフリーを実現することが、ヒートショックやアレルギーなどの健康リスクから家族の健康を守るために、とても重要であることがわかりました。

家族にとって快適な住まいは、長期的な視点で見れば、家そのものの耐久性が高く、使用するエネルギー量が極めて少なく、環境負荷も少ないと言えます。自然素材を活用することで、シックハウス症候群のリスクを減らし、家の中の空気をきれいに保つ効果も期待できます。何より、素材の心地よさは、快適な暮らしに欠かせないものです。オープンで可変性のある間取りはライフステージの変化に対応できます。家の中でのブラックボックスが少ないため、経年劣化を防ぐためのメンテナンスがしやすいとも言えます。

これからの家づくりで重視すべきポイントをまとめると、「健康 × 省エネ × 持続可能性」がキーになるのではないでしょうか。

家づくりは、一生に一度の大きな決断です。「価格」や「デザイン」だけでなく、健康を守り、快適に暮らせる家であるかどうかをしっかり考えることが大切です。

これから家を建てる方は、ぜひ「温度のバリアフリー」「省エネ性能」「長期的な快適性」を意識した住まいづくりを検討してみてください。大丸建設が皆さんの心地よい住まいを実現します。

温度のバリアフリー_4 高効率の設備機器で光熱費を低減

温度のバリアフリーを実現するには、家全体の断熱化が必要です。それに高効率の設備機器を導入することで、ランニングコストを大幅に低減、あるいはゼロにすることも可能になる時代がやってきました。

特に、ゼロエネルギー住宅(ZEH)は、1年間に消費するエネルギーを、太陽光発電などで「実質ゼロ」にする住宅のことで、国が普及に力を入れています。

ゼロエネルギー住宅は、「高断熱・高気密」が前提としてあり、さらに「省エネ」と「創エネ」を組み合わせることで、エネルギーの消費量を実質ゼロにする=光熱費も実質ゼロになるという仕組みです。

 

「省エネ」はいうまでもなく、省エネ性能の高いエアコンや給湯器、LED照明を使用することで、エネルギー消費を抑えることができ、電化製品による放熱も防ぐため、快適な室温で暮らすことができるようになります。

太陽光発電などを組み合わせた創エネルギーは、蓄電池を導入することで実質的に電力の自給自足も可能になってきています。災害時にもエネルギーインフラを維持することができるため、今後大震災が起こるリスクのある首都圏では、資金に余裕があれば太陽光発電と蓄電池の併用は検討したいところです。

温度のバリアフリー_3 高断熱+開放的な間取りが心地よい空間を実現

間取りの工夫によっても、温度のバリアフリー化は可能です。特に、家全体の空気の流れを意識した設計をすると、冷暖房の効率が大幅にアップします。

まずは、家全体がすっぽりと断熱されていることが大切です。特に窓や玄関などの開口部から熱が進入したり逃げたりするので、外気にふれる開口部断熱をしっかりすることが大切なポイントです。

そのうえで、家全体が大きなワンルームになるような設計が、温度のバリアフリーを実現する肝になります。リビング+ダイニングと個室、廊下を区切らず、1階と2階も吹き抜けや高窓を活用することでひとつなぎにするような住まいの設計です。

リビングとダイニング、キッチンが一体化した住宅は増えていますが、浴室や脱衣所は廊下で区切られているのが一般的な中で、あえて廊下を設けずにリビングから直接脱衣所や浴室に行けるような設計にすると、温度差を限りなく減らすことができます。また、玄関近くに断熱ドアや風除室を設け、外気の影響を受けにくくすることができるので、玄関の断熱性を高めていくことがとても重要になります。

また、個室が必要な時にも、引き戸にすることで区切る必要がない時には大空間にできますし、断熱性が高い住まいであれば一度部屋を温めた後でも引き戸で区切ることで快適な室温が逃げずに済みます。高窓をスライドすることで暖かい空気を循環させることもできます。

温度のバリアフリー_2 全館暖房は高断熱でこそ実現可能

温度のバリアフリーを実現するためには、家全体の温度を均一に保つ設計が重要です。

まずは何より、断熱性能を高めることです。これまでもヒートショック対策で何度もお話ししてきましたが、壁・床・天井に断熱材を入れるだけでなく、窓や玄関ドアの断熱性能も重要なポイントになります。窓断熱に対する意識は上がってきていまが、実は玄関の断熱性を高めることは家全体の断熱性を高め、特に寒くなりがちな廊下などリビング以外の温度低下を防ぐ意味で大切です。金属ドアやガラスが入った玄関ドアは、それ自体が熱を通しやすく冷蓄熱することもありますし、玄関の隙間から冷気が入り込むことで廊下の底冷えの原因になります。

家全体の断熱性が高まれば、「全館暖房」も実質的に可能になります。一般的な住宅では、リビングだけ暖房が効いていて、廊下やトイレ、浴室が寒いというケースがほとんどです。しかし、家全体が高断熱であり、かつ間取りもオープンで細かく区切られていないような家の場合は、エアコン1台で家全体を暖房することもできます。また、小屋裏や床下などに送風機能を持たせることで、冬は小屋裏で暖められた空気をおろす、夏は床下から相対的に低い温度の空気を送風するといった空気循環で冷暖房することもできるようになります。