
木の家をつくるというのは、木と対話することだ、と私たちは考えています。木には「表と裏」があるということをご存知でしたか?
木は育ちながら年輪を重ねます。幹の中心から外へ、年ごとに厚みを加えながら成長していきます。そのため、丸太の外側に近いほど“若い年輪”、中心に近いほど“古い年輪”が重なっています。この構造が、製材後の板に「木表(きおもて)」と「木裏(きうら)」という性質の違いをもたらします。
一般に、丸太の中心に近い側(木裏)は年輪が密に、繊維も詰まっていて、乾燥後の収縮が比較的安定するため、寸法変化が少なく狂いにくい傾向があります。一方、木表側は外周に近く、年輪が若く間隔が広めの年輪も混じることがあり、乾燥・湿気の変動に対して敏感で、反りや割れが出やすくなります。つまり、「木表・木裏」というのは、見た目の話ではなく、木が生きてきた時間の痕跡であり、材の“性格”そのものなのです。

この性格を理解せずに木材を使うと、たとえば床板や羽目板で「張ってから数年後に隙間ができた」「板が反って床鳴りがする」といった不具合につながります。だからこそ、私たち大工は「木表の向き」「木裏の向き」を見極め、どちらを表にするか、裏にするかを判断して板を張ります。
ただし、どちらが良い悪いではありません。大切なのは、どこに、どのように使うかです。構造材、下地、仕上げ、それぞれに応じて使い分けるからこそ、木の家は長持ちし、味わい深くなるのです。木の成長の履歴を読み取り、その木の性格を尊重して扱う——それが本当の「木づかい」だと、私は考えています。
