一軒の家が建つまで_8 工務店はハウスドクター

お客さんが家のことで困ったら、まず相談していただきたいのが工務店です。例えば水もれ、トイレのトラブルなど、テレビのコマーシャルでも「トイレのことなら♪♪♪」と流れて、すぐに専門業者に電話しなければ……と思いがちなのですが、まずは工務店にお電話いただくのが一番確実です。というのも、工務店の場合は、例えば配管トラブルなどでも、その配管だけを見るのではなく、家全体のバランスを見て原因を究明することができます。また、地域の職人とのネットワークがあるので、工務店に聞けば適切に必要なスキルを持った地域の職人を派遣することができます。

家づくりのことをトータルでわかっているのが工務店で、家づくりに関わるあらゆる職人を采配できるのも工務店の強みです。まさに「ハウスドクター」なので、本当になんでも相談いただいて大丈夫です。大丸建設で建てさせていただいたお客様の住まいのことは熟知していますし、そうでないお客様の家であっても、私たちは専門家なのでだいたいの状態は把握でき、適切にアドバイスできると思います。

ぜひ、お近くの工務店と親しくなって、いざという時に頼っていただければと思います。東京西部、多摩地域の方は、ぜひ大丸建設へ。お待ちしています。

 

一軒の家が建つまで_7 昔は大工棟梁が監督を務めていた

家づくりには実にさまざまな職人が携わっていることがわかります。現場監督はすべての業者の得意を見極め、職人さんを見定めて仕事を依頼していきます。職人も人なので、気持ちよく仕事ができるよう、信頼関係を築いていくことが大切です。

昔は今ほど設備関係が複雑ではなかったので、家づくりのほぼ全てを大工棟梁が采配していました。大丸建設の初代や二代目は、明治・大正時代に活躍しましたが、当時は大工が直接水道屋さんや左官職人を呼んで家づくりをしていたそうです。まさに「町守り」だったようで、住まいに関わることは棟梁に聞け、という存在でした。

まさに大工棟梁が全てを采配できる時代から、より仕事が高度に細分化してきた時に全ての職人を采配する役職として、工務店ができたのです。大丸建設の成り立ちも、まさにその歴史になぞらえることができます。宮大工として活躍してきた初代、二代目から、戦後に工務店をおこして地域の職人たちを束ねていった三代目。会社化したのも三代目のころです。その後は地域に密着した工務店として時代を重ね、私で六代目になります。これからも職人さんを大切にして、現場第一主義でいきたいと思います。

 

一軒の家が建つまで_6 家の内側が仕上がる

建物の「外皮」の部分が仕上がってくると、どんどん内装が進んでいきます。電気、ガス、水道の配管が配置され、断熱材や防水シートなどが張られて室内側の下地が整うと、クロスを張ったり、左官屋さんや塗装業者が入って家の内側の化粧を整えていきます。

内装の化粧がきれいになると、ようやく設備器具を取り付けられるようになります。エアコンの取り付けやキッチン金具、スイッチプレートの設置なども、クロス等の内装が整ってからです。内装工事の最後に近づいてくると、建具屋さんが入って木製建具を嵌めていきます。ドアやドアノブが入ると、家らしくなってきますね。

大工は最後まで、手すりをつけたり、框の化粧を整えたりなど、細かい木工事を進めていきます。

こうして家が出来上がって、引き渡しをした後も、最後まで工事を進めるのが外構や造園などのエクステリアの職人さんたちです。外構工事が終了するまで現場監督はその家とお客さんに寄り添っていきます。

一軒の家が建つまで_5 職人のリレー

大工が木工事をしている間にも、次から次へとたくさんの職人さんが現場に入ってきます。

上棟した直後から作業をするのは屋根屋さん。上棟後は骨組みだけなので、なるべく早く屋根をかけて、家の中が濡れないようにする必要があります。

その後、外壁の下地を作っているころに、ユニットバスの施工が入ります。割と初期の段階です。ユニットバスは家の中でも最も大きな設備だからです。

屋根ができて、外壁の下地ができたら、家が外と内に分かれるので、大工は内側の作業を進めていきます。その間に外壁塗装の職人さんが入ります。大丸建設の場合はサイティングよりも左官仕上げが多いので、左官職人さんが入ります。また、窓枠(サッシ)等も割と早めに入ってきます。

その間に、設備関係の職人さんが入ります。防蟻施工は外装工事中に行うことが多いです。その後、水道、電気、ガスの配管施工が進んでいきます。骨組みができて、外周部が覆われて、室内の配管が整っていく……その姿は、人間の骨と肉や皮と血管のようでもありますね。

一軒の家が建つまで_4 基礎から木工事まで

大丸建設で家を建てる場合、次のような流れで職人さんが仕事をリレーしていきます。

最初に仕事をするのは基礎屋さんです。家を建てる土地に来て、土を掘って、砂利を敷いて、鉄筋コンクリートを打ちます。家の基礎をつくる大事な仕事です。

その間に、水道屋さん、ガス屋さんが来て、先行配管といって、基礎部分にスリーブを入れたりします。基礎工事の時点で、家が立ち上がった時のことを見越して、どのように配管工事していくのかのイメージが出来上がっている状態です。

基礎ができたら大工工事が入ります。大工は一人で作業をすることが多いですが、工事の規模によっては応援の大工が入ることもあります。上棟といって、家の土台から柱、梁、桁といった、家の形をした骨組みが出来上がるまでは、大工の大切な仕事です。大工は、上棟した後も、内装の細かいところの木工事に至るまで、基礎が終わってからの最初から最後まで、ほぼ現場に張り付いています。

一軒の家が建つまで_3 現場監督は文字通り「監督」

「監督」と聞くと、皆さんはどんなイメージをいだきますか。例えばスポーツチームの監督ならば、試合の戦術を組み立て、選手を起用し、交代し、勝敗に対する責任を負います。例えば映画監督なら、作品の方向性について企画検討し、キャスティングや衣装、舞台美術、スタッフの起用や指示などもします。いずれも、全体を見渡し、人材の起用や、プロジェクトの全責任を持つ統括者、という位置付けです。

建築の世界における現場監督も、そのくらい重要な役割をしています。会社で言うと「プロジェクトマネージャー」というとわかりやすいかもしれません。家づくりという現場において、スケジュール管理、工数管理、人材配置、予算管理といった、全てを統括する責任者といえる立場です。

スポーツの監督や現場監督と異なり、あまり華やかさは感じられない仕事なのですが(笑)、本来は一番お客さんと会ってやりとりする仕事でもあります。なぜ華やかさが感じられないかと言うと、大手ハウスメーカーでは営業と現場監督の仕事が切り離されて、お客さんとはほとんど会わないからかもしれません。大丸建設では、現場監督は最もお客さんの近くで現場の進捗をお伝えする役割です。

一軒の家が建つまで_2 設計者の意図を汲む現場監督

家づくりに関わる職人はたくさんいますが、最初の職人といえば「設計者」かもしれません。設計者、建築家、デザイナー……言い方はさまざまで、また現場で常に体を動かすわけではないので、職人っぽくないかもしれませんが、設計者は家の設計図書をまとめ設計思想をそこに込めるわけですから、ある種の素晴らしい職能の持ち主と言えます。

この設計図書を読み解き、現場をスムーズに動かしていくのが現場監督の役目です。設計図書に書いてある指示通りに家を建てると、実際にどのくらいのコストが必要なのかの計算は、工務店がやります。建築材料、職人手間、工数、工期などによってコストが大幅に変わります。お客さんにとってはコストが少ない方がいいわけですが、一方でコストを下げることによって品質が低下することは避けたい。そのために、何を省いて何を重視するのかの見極めも大切になります。

設計者とお客さんとの間に立ちながら、現実の住まいをより良く、適切な価格にしていくための調整も現場監督の務めになります。

一軒の家が建つまで_1 たくさんの職人の手によって家はつくられる

大丸建設は、元々は大工からスタートした住宅建築の会社です。

家をつくる職人はさまざまいて、その中でも大工はもっとも花形の職人といえます。家づくりの最初から最後まで関わるからです。

でも、家づくりに関わる職人は大工だけではありません。電気屋さん、設備屋さん、基礎屋さん、左官屋さん、建具屋さん……本当にたくさんの職種の職人さんたちがいて、それぞれが連携しながら家をつくっています。

そうした職人さんを束ねるのが工務店の役目です。いつ、どの工程で、どの職人さんが現場に入るのがスムーズなのか、無理なく無駄なく職人を采配していくのが現場監督で、まさに文字通り「監督」なのですね。こうした現場監督も、ある意味職能の一つなので、職人と言えるでしょう。

今月は家づくりの職人の仕事についてお話しします。

物価高騰_ 8 正直に、誠実に

今月は住宅建築にかかる価格の話を、物価高騰の側面からお伝えしてきました。

大丸建設の社員も一人ひとりが生活をしており、食品、ガソリン、運賃、教育費等、暮らしにかかるあらゆるコストの増大の影響を受けています。建築の価格上昇について、なるべくお客さまの負担を軽減できるような提案をしたいとも考えていますが、価格ばかりに目が向いて品質が低下してしまうようなことは避けたく、必要なコストには相応の価格で対応しないと、結果的にそれを支える全ての産業の人や環境に影響してしまうのも事実です。

長い目で見て、日本の住宅産業やものづくりの技術が受け継がれ、また技術革新していくためには、働く人も幸せである必要があります。こうした中長期的な視野を持ちながら、工務店側もお客さま側も相互に理解し、価格に対する納得感を持って工事を進められるよう、正直に、誠実に、コストの現状についてお伝えしていかなければならないと考えています。

 

物価高騰_7 間接経費の圧縮には限界

建築にかかるコストについては、一つひとつに根拠があります。材料、輸送、人件費等の直接経費と、全体をコーディネートする工務店の施工管理費や営業費等を含む間接経費です。価格を圧縮する時には、工務店側の利益である施工管理費を調整して見積もりをご提示しますが、これがなくなると、工務店はつぶれてしまいます。工務店は事務所を構え、お客様の建築図面の膨大な資料を保管し、資材や建材の置き場を確保し、経理・事務や、営業・接客等を担当するスタッフも必要です。

こうしたバックオフィス機能が必要になるのは、私たちは新築のお客さまだけに対応しているわけではなく、家を建てて5年、10年、何十年と経ったOBのお客さまのハウスドクターとして、家の修繕が必要になった際のメンテナンスやリフォーム等に対応していく必要があるからです。新築のお客様に対しても、過去に対応したお客さまの事例等からデザインや価格調整のアドバイスをしていくこともあり、過去のデータベースを保管しておくことは大切です。

こうした間接経費の必要性にもご理解をいただきたく、お願いします。