一軒の家が建つまで_6 家の内側が仕上がる

建物の「外皮」の部分が仕上がってくると、どんどん内装が進んでいきます。電気、ガス、水道の配管が配置され、断熱材や防水シートなどが張られて室内側の下地が整うと、クロスを張ったり、左官屋さんや塗装業者が入って家の内側の化粧を整えていきます。

内装の化粧がきれいになると、ようやく設備器具を取り付けられるようになります。エアコンの取り付けやキッチン金具、スイッチプレートの設置なども、クロス等の内装が整ってからです。内装工事の最後に近づいてくると、建具屋さんが入って木製建具を嵌めていきます。ドアやドアノブが入ると、家らしくなってきますね。

大工は最後まで、手すりをつけたり、框の化粧を整えたりなど、細かい木工事を進めていきます。

こうして家が出来上がって、引き渡しをした後も、最後まで工事を進めるのが外構や造園などのエクステリアの職人さんたちです。外構工事が終了するまで現場監督はその家とお客さんに寄り添っていきます。

一軒の家が建つまで_5 職人のリレー

大工が木工事をしている間にも、次から次へとたくさんの職人さんが現場に入ってきます。

上棟した直後から作業をするのは屋根屋さん。上棟後は骨組みだけなので、なるべく早く屋根をかけて、家の中が濡れないようにする必要があります。

その後、外壁の下地を作っているころに、ユニットバスの施工が入ります。割と初期の段階です。ユニットバスは家の中でも最も大きな設備だからです。

屋根ができて、外壁の下地ができたら、家が外と内に分かれるので、大工は内側の作業を進めていきます。その間に外壁塗装の職人さんが入ります。大丸建設の場合はサイティングよりも左官仕上げが多いので、左官職人さんが入ります。また、窓枠(サッシ)等も割と早めに入ってきます。

その間に、設備関係の職人さんが入ります。防蟻施工は外装工事中に行うことが多いです。その後、水道、電気、ガスの配管施工が進んでいきます。骨組みができて、外周部が覆われて、室内の配管が整っていく……その姿は、人間の骨と肉や皮と血管のようでもありますね。

一軒の家が建つまで_4 基礎から木工事まで

大丸建設で家を建てる場合、次のような流れで職人さんが仕事をリレーしていきます。

最初に仕事をするのは基礎屋さんです。家を建てる土地に来て、土を掘って、砂利を敷いて、鉄筋コンクリートを打ちます。家の基礎をつくる大事な仕事です。

その間に、水道屋さん、ガス屋さんが来て、先行配管といって、基礎部分にスリーブを入れたりします。基礎工事の時点で、家が立ち上がった時のことを見越して、どのように配管工事していくのかのイメージが出来上がっている状態です。

基礎ができたら大工工事が入ります。大工は一人で作業をすることが多いですが、工事の規模によっては応援の大工が入ることもあります。上棟といって、家の土台から柱、梁、桁といった、家の形をした骨組みが出来上がるまでは、大工の大切な仕事です。大工は、上棟した後も、内装の細かいところの木工事に至るまで、基礎が終わってからの最初から最後まで、ほぼ現場に張り付いています。

一軒の家が建つまで_3 現場監督は文字通り「監督」

「監督」と聞くと、皆さんはどんなイメージをいだきますか。例えばスポーツチームの監督ならば、試合の戦術を組み立て、選手を起用し、交代し、勝敗に対する責任を負います。例えば映画監督なら、作品の方向性について企画検討し、キャスティングや衣装、舞台美術、スタッフの起用や指示などもします。いずれも、全体を見渡し、人材の起用や、プロジェクトの全責任を持つ統括者、という位置付けです。

建築の世界における現場監督も、そのくらい重要な役割をしています。会社で言うと「プロジェクトマネージャー」というとわかりやすいかもしれません。家づくりという現場において、スケジュール管理、工数管理、人材配置、予算管理といった、全てを統括する責任者といえる立場です。

スポーツの監督や現場監督と異なり、あまり華やかさは感じられない仕事なのですが(笑)、本来は一番お客さんと会ってやりとりする仕事でもあります。なぜ華やかさが感じられないかと言うと、大手ハウスメーカーでは営業と現場監督の仕事が切り離されて、お客さんとはほとんど会わないからかもしれません。大丸建設では、現場監督は最もお客さんの近くで現場の進捗をお伝えする役割です。

一軒の家が建つまで_2 設計者の意図を汲む現場監督

家づくりに関わる職人はたくさんいますが、最初の職人といえば「設計者」かもしれません。設計者、建築家、デザイナー……言い方はさまざまで、また現場で常に体を動かすわけではないので、職人っぽくないかもしれませんが、設計者は家の設計図書をまとめ設計思想をそこに込めるわけですから、ある種の素晴らしい職能の持ち主と言えます。

この設計図書を読み解き、現場をスムーズに動かしていくのが現場監督の役目です。設計図書に書いてある指示通りに家を建てると、実際にどのくらいのコストが必要なのかの計算は、工務店がやります。建築材料、職人手間、工数、工期などによってコストが大幅に変わります。お客さんにとってはコストが少ない方がいいわけですが、一方でコストを下げることによって品質が低下することは避けたい。そのために、何を省いて何を重視するのかの見極めも大切になります。

設計者とお客さんとの間に立ちながら、現実の住まいをより良く、適切な価格にしていくための調整も現場監督の務めになります。

一軒の家が建つまで_1 たくさんの職人の手によって家はつくられる

大丸建設は、元々は大工からスタートした住宅建築の会社です。

家をつくる職人はさまざまいて、その中でも大工はもっとも花形の職人といえます。家づくりの最初から最後まで関わるからです。

でも、家づくりに関わる職人は大工だけではありません。電気屋さん、設備屋さん、基礎屋さん、左官屋さん、建具屋さん……本当にたくさんの職種の職人さんたちがいて、それぞれが連携しながら家をつくっています。

そうした職人さんを束ねるのが工務店の役目です。いつ、どの工程で、どの職人さんが現場に入るのがスムーズなのか、無理なく無駄なく職人を采配していくのが現場監督で、まさに文字通り「監督」なのですね。こうした現場監督も、ある意味職能の一つなので、職人と言えるでしょう。

今月は家づくりの職人の仕事についてお話しします。

物価高騰_ 8 正直に、誠実に

今月は住宅建築にかかる価格の話を、物価高騰の側面からお伝えしてきました。

大丸建設の社員も一人ひとりが生活をしており、食品、ガソリン、運賃、教育費等、暮らしにかかるあらゆるコストの増大の影響を受けています。建築の価格上昇について、なるべくお客さまの負担を軽減できるような提案をしたいとも考えていますが、価格ばかりに目が向いて品質が低下してしまうようなことは避けたく、必要なコストには相応の価格で対応しないと、結果的にそれを支える全ての産業の人や環境に影響してしまうのも事実です。

長い目で見て、日本の住宅産業やものづくりの技術が受け継がれ、また技術革新していくためには、働く人も幸せである必要があります。こうした中長期的な視野を持ちながら、工務店側もお客さま側も相互に理解し、価格に対する納得感を持って工事を進められるよう、正直に、誠実に、コストの現状についてお伝えしていかなければならないと考えています。

 

物価高騰_7 間接経費の圧縮には限界

建築にかかるコストについては、一つひとつに根拠があります。材料、輸送、人件費等の直接経費と、全体をコーディネートする工務店の施工管理費や営業費等を含む間接経費です。価格を圧縮する時には、工務店側の利益である施工管理費を調整して見積もりをご提示しますが、これがなくなると、工務店はつぶれてしまいます。工務店は事務所を構え、お客様の建築図面の膨大な資料を保管し、資材や建材の置き場を確保し、経理・事務や、営業・接客等を担当するスタッフも必要です。

こうしたバックオフィス機能が必要になるのは、私たちは新築のお客さまだけに対応しているわけではなく、家を建てて5年、10年、何十年と経ったOBのお客さまのハウスドクターとして、家の修繕が必要になった際のメンテナンスやリフォーム等に対応していく必要があるからです。新築のお客様に対しても、過去に対応したお客さまの事例等からデザインや価格調整のアドバイスをしていくこともあり、過去のデータベースを保管しておくことは大切です。

こうした間接経費の必要性にもご理解をいただきたく、お願いします。

2024年の抱負_8 会社の体制も持続可能に

大丸建設の家は、すべてオーダーメイドです。大工さんや職人さんの力を合わせて、お客様の理想を形にするコーディネーターが、現場監督です。

私自身、長く現場監督を務め、一級建築士として数多くの現場を見てきました。現場監督の仕事は、スケジュール管理や見積りの積算、材料の発注や職人の調整など、多岐にわたります。現在は私と山崎で監督を務めていますが、ありがたいことに近年、建築家との仕事や、お客さまからのお問い合わせが増えているため、それに応えていくにはもう一人、現場監督ができるスタッフが必要です。

「現場監督募集」の記事に、大丸建設で働くおもしろさや醍醐味について、私の思いを述べました。大丸建設に加わって、一緒に働いていただける人を募集しています。

木の家づくりはとても面白いです。そして大丸建設では素敵なお客様に出会えます。今年も、お客様や職人さんと一緒に、いい家づくりを進めていきます。

2024年の抱負_7 今後ますます価値が高まる職人の技術

大丸建設で使うのは、国産の無垢材と、自然素材です。これらを生かす家づくりは、設計段階からどのように使いこなすのかの詳細を詰め、現場で職人の知識や経験を活かしながら調整し、木の個性や表情を見極めておさめていく、高度な技術が求められます。

今の住まいは、新建材を組み合わせることでもできます。安く、早く、確実な施工ができますが、決まったモジュール、寸法通りのものしかできず、自由度がありません。決まったパターンの商品を選んで買う、という作り方なので、そこに職人の技術はあまり求められません。AIやロボットが発達した時代において、職人技術が生かされる現場の価値は、ますます高まっていくことでしょう。

お客様自身もますます目利きになり、ご自身でライフスタイルをデザインすることができる方が増えていきます。そんな時代だからこそ、自由度高く、経験を持ってお客様に最適な住まいを提案できる工務店でありたいと思います。