日本は、住宅の寿命で世界の先進国の中でも最も短い国の一つです。日本の住宅の平均利用期間(新築してから取り壊されるまでの期間)は約30年。アメリカが55年、イギリスが77年という寿命に比べると、いかに短いかがわかります。
日本の気候風土や地震の発生頻度といった地理的な条件に左右されていることが大きいのですが、日本が諸外国に比べて「新しいものの方が価値がある」という価値観による新築志向が偏重していることにもあるように思えます。
日本は1981年以降に建てられた住宅が約6割を占めるのに対し(1981年は住宅の建築基準が変わり、耐震基準が厳しくなった年です)、1950年以前に建てられた住宅は5%以下です。欧米、特にイギリスでは1950年以前に建てられた住宅が4割を超えていることから、欧米では古いものを大切に使って長持ちさせる価値観が根付いていると言えるでしょう。
(日本は1945年に終結した第二次世界大戦で住宅にも大きな被害を受けたこともあり、1950年以前の建物が少ないとも言えます)