建て壊しではなく、できる限りリフォームしたい。

 中古住宅を壊してイチから建て直すか、使える古家を直しながら住み継いでいくのか、会社の経営を考えれば、新築の棟数を増やすほうがいい、と言えます。
 しかし、私は、壊さなくても使える住まいであれば、なるべくなら元の住まいを生かしたいと考えます。工務店は、住まいのつくり手でもあるのです。新築の時に、お客様のライフスタイル、家族の思い出を重ねるであろうその住まいを、私たちは心を込め、ていねいにつくっています。長く持つような素材で、堅牢に、重厚に、安全につくっています。同業の大工や工務店も、同じような気持ちでつくっていると信じたいのです。だから、ちゃんとつくられた住まいであれば、直せば使えるはず……と。
 そんなわけで、大丸建設ではお客様のご要望があって、耐震強度に問題がなければ、住まいのフルリフォームを積極的に受け入れます。フルリフォームであれば、新築と変わらないくらいの自由度で、でも新築よりもお安く、お客様の理想の住まいをつくることができます。

住宅のゴミの量はものすごい!

 ここまで、解体工事のお話をしてきましたが、いったいどのくらいのゴミが出るのでしょうか。
 一般的な木造住宅の解体で、実に4トントラック20台以上がゴミとして出ていくのです。これらは、ほとんど使い回すことはなく、産業廃棄物として処理されます。古材として価値の出るものは特別な素材で、大切に使われた建具やアルミサッシの枠の一部がリサイクルされるにすぎません。
 つまり、住宅の解体を選択した以上、ゴミが出ることは致し方ないと言えます。それだけに、新築の時にゴミになった時にも「土に還るもの」を選ぶ視点がとても大切になってきます。
 私たち人間は、生きている以上、必ず何かしらの資源を使い、ゴミを出し、また新たに使い、出しを繰り返します。地球負担をかけることを免れられないのであれば、せめて使うものの質は、エネルギーをなるべく使わず、自然に還るものに近づけたいと思います。大丸建設で自然素材を使っているのも、そのような視点を大切にしているからです。

解体は分別が大切!

 解体工事で屋根を外した後は、柱と柱の間にある石膏ボード、柱、梁をわけ、壊していきます。つまむという表現は品よく聞こえますが、実際は音もしますし、ホコリも立ちます。周辺の住宅に迷惑がかからないよう、水をかけながら解体作業を進めていきます。解体工事の日は穏やかな雨くらいの天候がちょうどよいのです。
 この時に、床柱など、新居でも使いたいような素材がある場合は、その部分のみ手作業でていねいに外していきます。
最後は基礎の粉砕ですが、この時はすごい音と衝撃、揺れがありますし、鉄筋の量やコンクリートの硬さなど、当時の基礎屋さんの技術の精度が垣間みられるおもしろい瞬間です。
 いまの解体工事は、パワーショベルと手こわしを併用することが多いです。
 住宅の解体工事で出たゴミは、ほとんどすべてが産業廃棄物として処理されます。外したサッシのアルミ部分は一部売れたり、再利用されることがあると聴いていますが、詳細はわかりません。解体されたものは、解体業者さんが持っていき、処理します。住宅の産廃のゴミの行方は、実は私もよく知らず、興味がありますし、いずれは有効活用されるような制度設計を望んでいます。

いよいよ解体編 —— 重機を使います!

 設備機器や建具の取り外しが終わったら、いよいよ解体です。住宅の解体は、たいてい、土地の周囲をシートで張り巡らした中で行うので、一般の方が実際の解体工事を見ることは稀です。これは粉塵や騒音を極力防ぐためです。
 昔はパワーショベルでグシャグシャと建物を壊していましたが、いまは一つひとつのパーツをつまみ、はがしていくというイメージです。以前はパワーショベルでグシャッと崩したものをそのまま産業廃棄物として捨てていたのですが、いまはそうもいかず、素材ごとに分類して捨てなければならないからです。
 まずは屋根材から外します。瓦の場合は、パワーショベルが入る前に職人さんが一つひとつ金物を外していきます。瓦は再利用もできます。コロニアルの素材の場合はアスベストが含まれている場合もあるので、これも専任の職人さんがていねいに外していきます。ガルバリウムなどの鉄板の場合は、比較的ラフにつまみあげて外していきます。

中古住宅を壊して建て替える場合

 いまお住まいの住宅を建て替える、あるいは古屋付きの土地を取得して古屋を壊して家を新築する―—。その際は、始めに古屋の解体工事が入ります。解体工事についての手順をお話します。
 木造住宅の解体にはだいたい10日から2週間程度の時間がかかります。工費は150万円から200万円程度です。
 まず、お客様の家財、家具などをすべて仮住まいにお引越いただきます。その時住宅に残っているのは設備など。新しい住まいでも使うのか、廃棄して新しくするのか判断いただきます。
 解体の前に、キッチンや古い給湯器などの設備類を外して、外に出します。次に、雨戸、サッシ、建具、畳などの内装材を外します。木製建具や欄間など、古材として価値がありそうなものは、古材ショップへ販売してまた新たに使っていただく手もあります。

リフォームに対する補助制度

 住宅をリフォームする時、どんなリフォームかによって補助制度がありますので、ぜひお問合せください。
【耐震リフォーム】
お住まいの自治体にどんな耐震リフォームの補助があるか調べてみてください。大丸建設の本社がある稲城市では、耐震診断への補助金と、耐震リフォームへの補助金が助成されます。
【エコリフォーム】
太陽光発電や太陽熱温水器など、創エネルギー機器への助成金があります。東京都の場合、国の補助金、都の補助金、区や市町村の補助金など、トリプルで助成を受けられる場合もあります。
また、地銀や信用金庫など、地域金融では高効率給湯器などの省エネ機器の導入に際し、定期預金の金利をアップするなどの省エネ応援商品を用意しているところもあります。エコリフォームをお考えの際は、様々な優遇制度をぜひお調べください。

現場監督はリフォームを手がけられて一人前

 以前も同じようなタイトルで現場監督のお話をしたことがありますが、あえてここでもう一度。現場監督の仕事は、実はリフォームこそが腕前の見せ所です。
 リフォームの場合、既存の住宅に自然素材や自然建材をどう合わせていくか、つまりイチからの設計よりも、既存の設計を把握しながら、さらにリフォーム用の設計をしていく、二倍の労力がかかる業務です。また、フルリフォーム以外では、お客様が住まいながらのリフォームとなるので、お客様の快適な居住性をなるべく損なわず、かつ迅速に工事を行わなければなりません。例えばお風呂のリフォームで配管をいじるとしても、トイレは使わなければならないので、工事を終えたら毎日トイレへの通路を復旧する、養生もよりていねいに行うなど、二重三重の配慮が必要です。工事のスペースも決して広くはないので、最低限の人数で素早く行うために、職人さんの時間配分なども気を配らねばなりません。
 リフォーム担当の現場監督が来たら、「この人は会社のエースなんだな」と思っていただければ幸いです(笑)。

自然素材リフォームは素材の熟知が必要

 大丸建設でリフォームをお引き受けする最大のメリットは、無垢材の性質や漆喰や珪藻土など、自然素材を熟知したスタッフと職人でチームを組んでいるということ。いまでもリフォーム業界では、ビニールクロス、クッションフロアなどの新建材を接着剤でくっつけるということが主流で、建築後の化学物質のにおいに悩まされる方がいます。
 木目調のフローリング材でも、実際は木目がプリントされた合板を張っているだけで、長く使っていると塗装がはがれたり、ワックスが変な形で溶解するようなことも耳にします。そのぶん、本物の無垢の床材は、時を経るごとに風合いを増し、美しく変化していきます。傷も自然のものとしてなじんできます。
 ただし、こうした自然素材は規格品ではないため、室内の寸法に合わせて一つひとつカスタムメイド。ただ建材を取り寄せ、張り合わせるのとは異なります。既存のものに自然素材を合わせることで、いままで知らなかった木材のヒビや割れ(これは自然現象です)に対する説明もていねいに行っています。

現場で対応するリフォーム、あれこれ

 部分リフォームの際に大切なのは、お住まいのお客様の環境をいかに壊さず、短期間で、スムーズに仕上げるかになります。現場での監督の判断がとても大切です。
 例えば、内装リフォームの場合で床を張り替えるならば、床の大引から入れ替えるのか、根太からなのか、また床の厚みによっても変わります。使う材料の量(立方メートル)によって金額も異なります。マンションの場合は、階下の住宅への防音性能を担保しなければならないので、自然素材の無垢材を使いにくいこともあります。
 壁であれば、質感を漆喰にすればよいのであれば、ビニールクロスの上から濡れる消石灰クリームもあり、カンタンかつ短期間で工事が可能です。一度クロスを剥がすのか、また幅木から取り替えるのかでも工期・工費は異なります。
 エコリフォームで窓サッシの断熱性を高める場合、元々のサッシが現在の規格と合っていれば割と容易なのですが、枠の大きさが特注であったり、外壁を壊して窓サッシを取り替える場合は工事も難しくなります。既存のサッシの内側、つまり室内に出っ張るような形でもう一つサッシをはめ込む「インナーサッシ」は比較的お安く、カンタンに工事ができます。

リフォームの工費・工期の留意点

 最近はマンションリフォームのお見積もり依頼も増えています。これまでにも幾つか手がけていますが、マンションの場合、幾つか留意点があり、「やってみないとわからない」ことが多いのも実情です。
 というのは、マンションリフォームの場合、古いマンションでは建築の詳細図面が手に入らないことが多く、例えば水回りリフォームで床下の配管のための勾配をつける工事では、床を開けてみないとどの程度の床下高が確保されているかわからない、という場面もあります。事前に図面で確認がとれれば、すぐに職人を手配できるのですが、職人が床を開けてみて、そこから工事の手はずを整えるとなると、工期も、工費も、そのぶんかさんでしまいます。これは、既存住宅のリフォームでも同じことが言えます。
 その点、大丸建設で手がけた住宅をリフォームする場合は、図面も完全な常態で残っていますし、何より社長や大工、長年の社員がそのお宅のことを把握しているので、スムーズにとりかかることができます。