第3回土曜日の日曜大工講座

こんにちは。

第3回土曜日の日曜大工講座(ダストボックス)を記事にしていただきました。

3回目にしてやっと天気に恵まれ(恵まれすぎ?)広々と出来ました。

参加いただきました皆さんの笑顔がとても素敵です。

ダストボックス

次回は7月8日(土)に行います。

http://morinooto.jp/2017/06/29/daimaru3/

8月5日(土)10時から12時、地元稲城で、いな暮らしさん主催の元、南武線稲城長沼駅高架下でマガジンラックを作るワークショップを行います。

是非ご参加下さい。

柱→檜という概念からの脱却

私は幼少期から父の背中越しに家業である工務店の仕事を見つめていました。大工さんに憧れ、いつか自分も住まいをつくる人になるんだという漠然としたイメージを持っていました。

学生時代にはすでに大丸建設でアルバイトを始めていたので、かれこれ20年以上もこの仕事に携わっていることになります。20年前は、柱に杉材を使うなんてことは、考えられませんでした。当時の大丸建設は「高級和風建築」が売りだったこともあり、檜の柱が当たり前、予算的にどうしても難しい場合にのみ杉材を使うという感覚でした。

それが変わったのは、2003年に「チルチンびと『地域主義工務店』の会」への加入がきっかけでした。国産材を積極的に活用していくには、構造材で杉材を使用することが不可欠。当初私は「杉は弱いのでは」という感覚がありましたが、工務店の会で大学と連携した強度試験等を見てきて、「杉は強いんだ。構造材に使っても強度は十分である」ということが理論的にわかり、それからは納得して杉材を使うようになりました。

ホームセンターでも国産材が人気

最近のDIYブームも手伝ってか、ホームセンターで国産材を見かけることが増えてきました。杉は動きやすいものの、やわらかくて肌ざわりがよく、ぬくもりがあります。やわらかいから切りやすいし、加工がしやすく、扱いやすいので、DIYには最適ですね。なんと言っても、軽いので持ち運びも楽です。

大丸建設の「土曜日の日曜大工講座」が人気ですが、そこでも杉材を使っています。小学生のお子さんですと、自分で鋸を引いたり釘打ちをするなどして活躍しています。金槌で釘を打っても、釘が入りやすいですし、失敗して釘を抜くときでも容易です。

クリやナラ、カシなどの広葉樹は、硬くて目が詰まっていて、伸縮性がほとんどありません。硬質なので肌触りは少し冷たいです。そのぶん、動かないので家具には広葉樹が使われます。DIYには少し難しいので、そこは職人技でプロが手がける方が仕上がりがよくなります。

日本材を海外にアピール?

新国立競技場は日本の材木を世界にPRする絶好の機会だと思いますが、それがただちに国産材の輸出につながるかというと、私にはそうは思えません。

国産材、特に杉材は成長が早く、50年ほどで建築用材として使えるほどすぐれた材ですし、素直で加工しやすいのが利点です。やわらかくてぬくもりがあり、調湿性にすぐれているため、四季のある日本にはぴったりの素材です。

しかし、それをそのまま海外に輸出して住宅材として使えるかというと、海外は気候風土も異なるため、難しいのではないかと思います。乾燥している地方では割れや反りも出てくるでしょうし、高温多湿な国ではカビや木材腐朽が心配です。

木は適材適所、地産地消がいちばんです。その国の気候風土のなかで育った木が、その土地の住まいにはぴったりだと思います。

むしろ、木材の加工技術で日本は勝負すべきではないかと考えます。

日本の木造建築の伝統美

日本が誇る寺社建築や数寄屋造りの建物など、直線で区切られた精緻な日本の美を感じる新国立競技場。私も実物をこの目で見るのが楽しみです。

私は、日本の建物は特別に美しいと感じています。法隆寺に代表される寺社建築は、1400年を超えてなお新しく、非常に合理的で、かつ堅牢です。桂離宮のような数寄屋建築も、木材の繊細な表情や直線で構成された空間の絶妙な緊張感のなかに、どこか曲線の要素も入った洒脱さがたいそう美しいと感じます。

ログハウスなども温かみがあって好きですが、日本らしさという意味では、直線美を追求し、そのまま木を生かしていく面白みがあると思います。

寺社建築や伝統建築のみならず、一般の住宅建築でも、柱や梁を見せることによって「直線」を感じる日本の建物が、私はとても好きです。

木材はメンテナンスしやすい

新国立競技場はメンテナンスのしやすさも大きなポイントです。主要な構造体は100年間大規模な修繕を必要としない計画とし、高耐久性の材料・仕様の仕上げ材を用いています。大屋根トラス部材の集成材、軒裏の縦格子といった外装に使われる木材は、加圧注入処理を施した高耐久性木材です。雨がかりのところは国産木材の中でも比較的雨に強いカラマツ材とし、杉材は雨のかかりにくい軒裏に仕様するなど、「適材適所」であるのも特徴です。

7万人以上を収容する超巨大な建築物である新国立競技場、しかも2020年には世界中の注目を集めるスポーツの祭典が開かれるこの場所で、日本の木造建築、木材加工技術の粋を集め発信できることは、非常に価値のあることと思います。

低環境負荷のスタジアム

新国立競技場では、国産木材を多用した「木のスタジアム」という特長のほかにも、太陽光発電や雨水利用、自然エネルギーを積極的に活用した低環境負荷が売りになっています。

トラスの先端部には薄膜太陽電池を採用し、トラスの勾配を利用して雨水を地下の貯水槽にため、周囲の外構・植栽の灌水に利用したり、緊急時の水源としても利用できるようです。

また、高効率機器の導入や、次世代BEMS(Building Energy Management System)の採用により、空調や照明等の最適な運転、効率利用を実現し、無駄なエネルギー消費をおさえます。こうした様々な環境技術を採用し、建築物総合環境性能評価システム「CASBEE」の最高ランクの達成を目指します。

世界が「木のぬくもり」に注目する

新国立競技場では国産木材の高度利用のみならず、日本の「和の意匠」「線の美」を世界に発信する素晴らしい機会であると思います。

技術提案書には「日本の伝統文化を、現代の技術によって、新しい形として表現」「日本の気候・風土・伝統を踏まえた木材利用」と書かれています。内装イメージは、「木に包まれるスタジアム」で、直線のトラスが中心に向かって包み込む内装は、世界に日本の直線美感じてもらえるに違いありません。トラスの木材には国産杉材とカラマツ材を利用します。外装の軒の庇は、木製の縦格子ユニットを採用。やわらかな陰影を作り出し、神宮外苑の森と調和した、またとないデザインになりそうです。

ちなみに、照明は「ぼんぼり」をイメージした和のあかりになるそうで、夜景時も和の趣がある、やわらかな光の演出が期待できそうです。

2020年に日本の木造建築文化を世界に発信

2020年に向けて建設が急ピッチで進められている新国立競技場。座席数が約7万という国内有数の大規模建築物であるため、基本構造は鉄骨造ですが、国産材を積極的に活用することで注目を集めています。設計したのは建築家の隈研吾氏。「木に包まれたスタジアム」がコンセプトで、大屋根を構成するトラスは、鉄骨を木の集成材ではさんだハイブリッド構造ということです。

新国立競技場は、日本の木材自給率の向上を明確に謳い、日本の林業の活性化、森林の適正な管理と保全を目的に掲げています。新国立競技場はコストの問題で再設計となったため、調達がしやすく加工も容易な中断面集成材を採用してコストの低減をはかっています。また、トラス面の木材は加圧注入処理をほどこした高耐久性木材を使用。新国立競技場では、日本の木材利用技術の集積としても見所が大きいのが特長です。

仮設住宅の木造化に期待

2011年に起こった東日本大震災、そして昨年の熊本地震。巨大台風や水害等の異常気象。世界屈指の災害大国である日本では、暮らしの備えとして「仮設住宅」の産業も重要です。

仮設住宅はその多くが簡易的につくられるプレハブ住宅ですが、東日本大震災直後からいち早く仮設住宅で木造建築を実現したのが岩手県住田町です。住田町では震災以前から町の基幹産業として林業活性化を掲げ、木材の販路拡大のために木造仮設住宅の設計図を描いていたそうです。その経験が、震災後いち早く木造、しかも多くが住田町内の材を使った仮設住宅の建設に動きました。

熊本地震でも、全国の工務店や建築業の組織でつくる「全国木造建設事業協会」と熊本県が提携して、熊本県産の木材を使った仮設住宅を建設して復興支援をおこなう締結が結ばれました。

木造仮設住宅では木材を再利用できるため、今後の普及が期待されます。