建築士としての規範、モラル

今年10月に発覚した横浜市の傾きマンション事件。10年前の姉歯事件を彷彿させますが、それ以上に影響が大きい重大事件です。
 木造建築では、柱が飛んで、梁を抜いている……そのような状況で、住まい手の命と財産を扱う建築士としてのモラル、生き方が問われます。
 報道を見ていると責任の押し付け合いのような面も感じられますが、データを改ざんした担当者はもちろん、それを見抜けない管理や、一社だけでない建築業界の体質、販売責任など、総合的で非常に広範囲な問題だと思います。
 建築に関わる不正や偽装はどのようにして起きるのか、建築士としてなぜそれができるのか、私には理解ができません。元請け、下請け、孫請けと、関係者が多岐にわたるにつれコストを圧迫しているだろうこと、激しい価格競争などもあるのかもしれませんが……。
 少なくとも、私たちのような小さな工務店では、職人さんをコストで締め付けると家づくりのモチベーション自体が下がってしまうため、職人さんを大切に扱っています。規模が大きくなればなるほど、人対人という関係性が薄れ、倫理的な価値判断が薄くなってしまうのかなあと思うと、残念です。

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