雨樋にも綿密な計算が……

 大丸建設は住まいの主治医・「ハウスドクター」を謳っているので、住まいのどんな小さなトラブルでも電話一本で駆けつけるようにしています。お問合せのなかでも比較的よく見られるのが「雨樋が詰まった」というトラブル。雨樋の詰まりはどうして起こるのでしょうか。
 秋の落ち葉が代表的な例ですが、屋根にのった落ち葉が雨と一緒に樋に流れてきて、軒樋から縦樋に水が落ちる時に、そこで詰まってしまうことが多いのです。軒樋から縦樋の接点は漏斗状になっているので、そこに葉っぱが詰まりやすい。
 屋根面が大きいと、それだけ雨水の量も多くなるので、その分縦樋も多くしなければなりません。基本は四隅に設けていますが、増やすこともあります。例えば下屋がある時は、下屋だけ別に樋を設けて雨を流すこともあります。
 雨樋は何気なくついているようでもありますが、実はこうした綿密な計算によってつくられているものなのです。

屋根から流れた水のゆくえ

 斜めの勾配屋根から流れた雨は、いったいどこに行くのでしょう? そのまま水が屋根の端から流れ落ちたら、家に入る時に雨だれを防ぐことができず、びしょぬれになってしまいます。そうならないように、屋根の端(軒先)に樋を渡して(軒樋といいます)、軒樋にも勾配をつけ、屋根の四隅に設けた縦樋を通じて水を垂直に流します。
 とはいっても、そのまま地面に水を流すのでは水たまりができてしまいます。地域によって雨水の処理方法は異なり、排水溝に直接雨水を流すのがポピュラーです。あるいは宅内処理で浸透枡をつけて、砂利からゆっくりと地面に雨水を浸透させて処理する方法もあります。
 最近では雨水利用に注目が集まっています。雨水タンクに雨水をためておいて、庭木に水をやったり、洗車に使ったり、夏の暑い日の打ち水用など、用途は無限大。水を大切に使う心にもつながりますね。

屋根が斜めなのはどうして!?

 住まいの絵を描く時、屋根はどんな形をしていますか?
 それが「木の家」であれば、大半は三角屋根ではないでしょうか。実際、大丸建設で建てる家のほとんどは、昔ながらの日本の三角屋根(切り妻屋根といいます)か、寄せ棟、片流れというように、必ず勾配がついています。屋根を斜めにすることで、雨水を流す働きがあります。
 マンションの場合は四角い箱のような絵が多いですね。鉄筋コンクリート造の住まいで三角屋根は、逆に珍しいものです。でも、見た目にはわからないだけで、実は排水のための水勾配はあります。だいたい50分の1くらいの傾斜です。こういった「陸(ろく=水平という意味)屋根」は、防水剤が使われています。
 木造の三角屋根では、防水シートに屋根材という組み合わせが多いです。屋根材には薄くて軽いガルバリウム鋼板や昔ながらの瓦、それからカラーベストなどを使います。

梅雨の話題は「雨と住まい」

 今年は観測史上3番目に早く梅雨入りしたと言われる関東地方。梅雨入り後しばらくは雨が降らずに「空梅雨か!?」と思われ、水不足が心配されましたが、ようやく梅雨らしい空模様になってきましたね。
 そんな梅雨にちなみ、今月の話題は「雨と住まい」についてお話しします。当たり前の話なのですが、住まいがなぜ存在するかというと、雨から人の暮らしを守るためです。もっと広げると、雨、風、雪と、寒さから人を守るためです。
 住まいの原点は、柱と壁、そして屋根です。昔は床すらなく土を固めた上に板や藁などを敷いて寝ていました。でも、屋根と壁がなければ風雨から人も財産も守ることができません。そして、屋根と壁を支えるのに必要なのが、柱と梁なのです。一晩や二晩であれば、テントでも暮らせるのがいい例です。